日本のランニング人口は増加傾向。今や1000万人*いるとも言われています。
近年のランナー人口増加に伴って、膝の痛みを訴える人も増えているといいます。いわゆる「ランナーズニー(ランナー膝、腸脛靭帯炎)」というものですね。この痛みは「腸脛靭帯」、英語で”IT Band” (iliotibial band)と呼ばれる靭帯に起因していますが、この靭帯のパワーが人間とチンパンジーで全く違い、人類の進化を示す一つだ、ハーバード大学の研究で発表されたというのです。
腸脛靭帯は、膝からお尻まで伸びる筋膜の一つで、膝を動かす時にエネルギーを貯め、放出します。膝を曲げるときにエネルギーを貯め、伸ばすときにエネルギーを放出するのです。走る方が歩くのに比べて弾性が必要な動きなので、この靭帯には、走る時には、歩く時よりも大幅にエネルギーが貯められます。
研究によると、腸脛靭帯はチンパンジーのそれにあたる大腿筋膜と比べて、10〜15倍ものエネルギーを貯蓄できるということです。つまり、チンパンジーは長距離の歩行やマラソンのようなことはできないのです。
腸脛靭帯が歩行のために進化したのか、それとも走るために進化したのかはまだわかっていませんが、人間と動物の明らかな違いの一つです。
この腸脛靭帯の研究は、ランナーズニー(腸脛靭帯炎)を早く治す方法を見つける手助けになるのではと、今後の展開が期待されています。
*年に1回以上ジョギンやランニングを実施している人、笹川スポーツ財団「スポーツライフに「関する調査報告書」(1998-2014)より
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