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「オーガニック」を選ぶとき、選ばないとき


「オーガニック」「有機栽培」などの言葉でPRされている食品などをよく見かけることがあると思います。なんとなく「カラダにいいもの」「環境に優しいもの」「とりあえずオーガニックかそうじゃないかで言ったらオーガニックの方がいい」というイメージが世間で醸成されているように思います。

でも、今の時代、アメコミのような絶対悪や絶対善はなかなか存在しません。それと一緒で、「100%オーガニックが良くて、そうでないものは良くない」という考え方は必ずしも正しくないのではと思います。ものや状況によっては「あえてオーガニックを選ばない」と判断してもいいものがあるとー。今一度オーガニックとは何か、何がよくて、でもどの点を注意した方がいいのかをまとめました。

「オーガニック」の定義

オーガニック(organic)の意味を英和辞典で引くと「有機の」という意味がまず出てきます。有機(物)とは無機(物)の対義語で「炭素」を含む物、生物だけが作り出せる炭素の化合物という分類で使われる言葉です。農業における「有機」は主に肥料に使われる「堆肥」を指します。「堆肥」とは微生物の力で有機物を完全に分解した物で、もともとはそれを使った栽培方法に対して「オーガニック」という言葉が当てられていたました。今は、化学肥料や殺虫剤などの農薬を使わない「合成された農薬を使わない」栽培方法も合わせた意味で使われるようになっています。

オーガニックや有機栽培を名乗るためには国によって様々な基準が設けられています。現在の日本では有機JAS制度で「有機農産物」とされる大まかな定義は以下の通りになります。

  • 化学的に合成された肥料および農薬の使用を避ける。
  • 遺伝子組換え技術を利用しない。
  • 播種(はしゅ)または植付け前の2年以上の間(多年生作物の場合は最初の収穫前3年以上)、有機肥料での土づくりを行った田畑で生産されたもの。

この基準を満たし、認定機関で検査を受けて合格した物だけが認定マークを付けて「有機」「オーガニック」という表示を許可されます。

小規模農家にとって負担となりうる「オーガニック」

「有機JAS認定マーク」を取得するには、上記の基準だけでなく、年間10〜20万円の費用が必要となります。しかも、有機栽培は非常に難しく、うまく育てるには材料や作物の手入れに膨大な時間や手間がかかります。そして、失敗してしまったり、作物が小さく育って収穫量が減ったり、賞味期限が短くなる可能性があります。

それでも大規模農場では付加価値を高め、ビジネスチャンスにも成り得ますが、家族経営のような小規模農家にとっては大きな負担となります。

オーガニックとは呼べなくても・・・人にも地球にも優しい農法

有機栽培がもてはやされるようになったのは、これまでの慣行農業での環境に対する悪影響、マイナス面を取り上げて改善していこうという意識の表れです。残留農薬がカラダに害を与えている、化学合成農薬が環境に対して負荷をかけている、過剰な化学肥料の投入で土が疲弊したり富栄養化で河川が汚れたりしている・・・等々、確かに、農薬や化学肥料が環境汚染の要因になった時代がありました。高度経済成長する中で、大気汚染や工場排水が原因で各地で公害が多発していた頃です。

ですが、現在の慣行農業で使っている農薬は当時と同じものではありません。農薬の残留性は低くなり、散布して数日後には成分が分解されてしまうようになりました。ピンポイントで特定の虫や病気に効くように改良されることで散布量を減らせるようになりましたし、化学肥料だけではなく、有機肥料も混ぜてつかうことで土を健全に育てていこうという動きは慣行農業のなかにも出てきています。

「オーガニック=慣行農業よりも絶対にいい」と言えない理由

有機農業だから環境に全く負担がないとは言えません。農薬や化学肥料を使わないから環境に優しいとイメージがありますが、有機肥料でもたくさん使えば富栄養化をまねいてそれが河川や海に流れ、環境汚染を招きかねません。

※「オーガニック=無農薬」ではなく、微生物を有効成分とする殺菌剤など、指定された「有機」表示のできる農薬は使用可能。

そして前述の通り、有機栽培では収穫量が少なくなるので、その分より広い農地面積が必要になりますが、それはつまりそれだけ自然環境を破壊する面積を広げるということになります。小さい面積で効率よくたくさん収穫していく慣行農業のほうが、環境負荷が小さいという見方ができるということになります。

 

オーガニックを選ぶとき、選ばないとき

例えばミント。育てた経験のある方ならわかると思いますが、虫にも悪天候にも非常に強い植物です。このような植物なら有機栽培か、もしくは自然栽培(一切の肥料・農薬を使用しない栽培方法)されたものを選べると思います。このように、そもそも農薬や肥料を必要としない強靭な作物や、その土地に合っているがために手間暇かけなくても育ちやすいものを選べればいいですね。

そして、綿(コットン)。様々な素材に使われる綿の畑は広大。世界の殺虫剤の25%はコットン畑で使われていると言われるほど。多くの畑は発展途上国にあり、農家の貧困とともに健康被害が問題になっています。この場合、オーガニックであると同時に、フェアトレードされたものかどうかも考えて選びたいです。

大豆はどうでしょう。大豆は単位面積当たりの収穫量が多くは望めない作物です。選別が難しいからです。また、化学的な農薬を使用しないで大豆を作るのはすごく大変で、特に草取りの手間が莫大だそうです。この場合、オーガニックにこだわる必要があるでしょうか?遺伝子組み換えを避けるならば、有機指定外の農薬でも、必要なものは最低限使って栽培されたものを選んだ方が、結果的には社会や環境に優しいことになるのではないでしょうか。

もちろん、上記も状況によっては100%正しいとは限りませんが、情報に惑わされず、自分の求める価値を判断し、選ぶ力をつけることが、みんながハッピーに過ごせて持続可能な社会を作ることに繋がって行くのではと思います。

 

 

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