Nutrition

脂質代謝に欠かせないカルニチン


カルニチン(carnitine)の正式名称は、β-ヒドロキシ-γ-トリメチルアミノ酪酸。アミノ酸から生合成されるビタミン様物質です。つまりビタミンに似た生理作用をもち、体内の代謝に重要な役割を担う物質の一つです。

中でも、カルニチンが担うのは脂質の代謝です。

◆カルニチンの働き
人が活動するのに必要なエネルギーは、ミトコンドリア内で行なわれているクエン酸回路というエネルギー循環で生み出されます。食事で摂取した脂肪などの栄養は、分解されると最終的にミトコンドリアに取り込まれてエネルギーの素(ATP)になりますが、このミトコンドリアに脂肪を取り込むのにカルニチンが必要なのです。

脂質代謝

◆カルニチンは減る!?
ビタミンと違ってビタミン様物質のカルニチンは体内で生合成できます。肝臓で、必須アミノ酸のリジンとメチオニンから合成され、血液を介して、筋肉に取り込まれます。ただし、加齢とともにその合成力は低下します。20歳ごろからすでに減り始め、80歳では極めて低いレベルにまで落ち込むといわれています。脂肪の燃焼に深く関わるカルニチン。中年太りの要因には、加齢によって体内のカルニチンが減っていくことも関係していると考えられています。

また、カルニチンが不足すると、慢性疲労症候群という、風邪などを契機に、激しい倦怠感や、脱力感を、半年以上、持続ないし繰り返す病気になると言われています。

◆カルニチンを効果的に摂るには

カルニチンは野菜類にはほとんど含まれておらず、良質な羊や牛などの肉類に含まれています。つまり、野菜中心の生活をしていると不足しがち。肉類で補おうと思うと減量中は脂質が気になりますので、サプリメントで摂るのが効率的です。また、2005年に発表された研究論文*によると、スポーツをしない人に比べスポーツをしながらカルニチンを摂取する人の方が「体内でカルニチンがより働きやすい体質になり脂肪燃焼も促進されやすくなる」ことが示唆されていますので、サプリでしたらトレーニング前に飲むのが効果的です。

 *Lohninger A. et al., Monatshefte fur Chemie., 136, 1425-1442 (2005):
  (論文邦題)「持久的運動とL-カルニチン摂取は若年アスリート・中年被験者の血中および筋肉細胞における遺伝子発現を高める」

関連記事:今更聞けない:BCAAとは?

No Comments

Leave a Reply

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください