ヨーロッパでは年々、食に対する意識が高まっています。「グルテンフリー」「オーガニック」「non GMO」などのキーワードについて掘り下げてみたいと思います。日本では、「痩せる」「健康にいい」など、トレンドのように紹介されることが多いようですが、ヨーロッパでは「次世代のことを考えて」「地球環境を守りたいから」という理由でこのようなキーワードがあがるようになっています。
今回は、オーガニックについて。
オーガニックとは「有機」と同じ意味です。農薬や化学肥料に頼らず、太陽・水・土地・そこに生物など自然の恵みを生かした農林水産業や加工方法をさします。国際的な規模で有機農業推進活動を行っているIFOAM( 国際有機農業運動連盟) は、オーガニックの原則として「生態系」「健康」「公正」「配慮」の4項目を掲げています。
オーガニックと認められるには、農家が有機の基準に従って栽培することが必要で、その基準に従っているか専門の認証機関にそれを証明してもらう必要があります。認証されて初めて、「オーガニク」「有機」などと名乗ることができます。認証されるとマークが付与されます。
EUでは、オーガニックな農地の面積は、全農地面積の約5.6%を占めます。(日本のオーガニック農地のそれは0.3%に過ぎません。)これは、EUでは2012年に農家に対する環境保護を目的に農業環境規制が実施され、その中でオーガニック農業を行う農家への直接支払いでの支援が行われるようになったという背景もあります。
拡大しているのは農地だけではありません。消費者がオーガニック製品を求めるようになっています。オーガニック市場がEUでも最大なのはドイツ。2012年の売上高は70億ユーロでしたが、その後も成長を続けており、国内の供給が追いついてないとも言われています。
ドイツはもともと「環境大国」としても知られていますが、オーガニック食品の需要が高まった背景には、そもそも農薬の使用自体、または、複数の農薬を同時に使用することで累積される環境負荷を懸念する 人が多いことが挙げられます。また、アレルギーを持つ人が残留農薬などに敏感になり、オーガ ニック食品を求めるケースも多く、こういった点からもオーガニック食品の需要は今後 も増加傾向にあると予想されています。
ヨーロッパでは、これら消費者の要望を背景に、学校や病院などの公共施設内の食堂などを対象に、オー ガニック食品の使用比率の目標を設定するなど、国策としてオーガニック食品の利用を促進している国も存在するほどです。(例:フランス:20%(2017 年)、デンマーク:60%(2020 年))。
グルテンフリー食品同様、オーガニック食品についても、「流行ってるから」とか、「セレブがオーガニック食品を選んでいるからから」といった「トレンド」ではなく、食を見直す機会として注目され、選ばれていくことを願っています。
※ちなみに、「オーガニック」と「ナチュラル」「自然食」などが混同されがちですが、前者は栽培の仕方を示し、後者は由来を示すので別物です。「自然由来のものやナチュラルなものがすべてオーガニックだとは限りません。
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