グルタミン(Glutamine)とは、体内で合成することができる非必須アミノ酸の一種です。つまり体の中で合成できるアミノ酸。「非必須」と聞くと「必須」こそ大切でどうでもいいのでは?と思われがちですが、非必須アミノ酸というのは「体の中で(他の物を分解してまでも)作らなくてはいけないぐらい大事なもの」という意味なんです。
◆グルタミンは体内で最も多いアミノ酸
グルタミンは人間の骨格筋に貯蔵される遊離アミノ酸の60%を占め、体内で最も多いアミノ酸です。60%もあるということは、それだけ必要とされているということ。そのアミノ配基がL体とD体のとがありますが、スポーツに注目して必要なのは、L体のものです。(Lグルタミン)
◆Lグルタミンの働き
そもそもグルタミンが人体にとって重要なのは、細胞を合成する時に必要とされているためです。インスリンの分泌を刺激せずにグルコースに変換され、短時間で分裂する細胞のエネルギー源となるのです。人体では常に新しい細胞が合成され、古い細胞が死んでいっていますが、特に身体の組織が傷ついた時などは、その修復のために沢山の細胞を合成する必要が出て来るので、グルタミンが大量に消費されます。ハードなトレーニング後はこの、グルタミンが大量消費されるタイミングにあたります。手術後の体内のグルタミンレベルと、ハードなトレーニング後のそれはほぼ同等という研究結果もあるほど。グルタミンが消費されて足らなくなれば、身体はエネルギーを作り出すために筋肉を分解してしまうのです。
つまり、グルタミンの主な働きは
- 免疫力の向上
- 疲労回復
- 筋肉分解の防止
医療の分野でも手術後の患者の回復にグルタミンが利用されています。また、グルタミンは細胞を柔軟に保つことでエネルギーの代謝や窒素代謝に関与し、認知症を予防し、潰瘍の回復を早めるといわれています。
◆減量中のトレーニーは不足しがち!?
上記の通り、トレーニングは術後と同レベルで身体に多大なストレスを与えるものです。グルタミンが不足して、知らず知らずに免疫が弱まっていることはよくあります。筋トレしていて風邪をひきやすくなった、疲れが抜けない、翌朝起きれないと感じることがあれば、グルタミンが不足している可能性が高いです。
また、体重別競技を行うアスリートや「体脂肪をできるだけ増やさないように筋肉を付けたい」という目的を持ってトレーニングを行っているトレーニーも要注意。グルタミンは小麦タンパクにあたるグルテンに含まれるので、パンやパスタなど、小麦による糖質補給を制限している場合、グルタミン量が不足しやすくなります。
◆グルタミンの効果的な摂取方法
グルタミンは小麦以外にも、肉や魚、たまごなどに多く含まれますが、加熱により変性するため、食事からの摂取は難しく、サプリメントからの摂取が効果的です。飲むタイミングとしては、起床後、トレーニング後、寝る前が適していると言えるでしょう。ハードなトレーニングを行うボディビルダーはトレーニング中にも摂取して、体内のグルタミンレベルの低下による筋肉分解を防いでいることが多いようです。
格段に調子が良くなるので効果を実感しやすい栄養素です。
なお、グルタミンは代謝されやすい物質なので、逆に必要量を超えて摂取してしまっても過剰障害などが起こる心配はほとんどありません。
◆「グルタミン酸」は別物
ちなみに、名前が似ていて紛らわしいのですが、「グルタミン酸」は、昆布に含まれているうまみ成分の一つです。食卓でおなじみの「味の素」の主成分の97.5%は「グルタミン酸ナトリウム」。グルタミン酸も体タンパク質を作っている大切なアミノ酸ですが、単独での効果に関しては期待ができない全くの別物ですのでお間違い無く。
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